「バブバブ(喃語)」を受け止めましょう
このごろ、お父さんやお母さんの中に、子どもと何をどう話して良いのか分からないという声が聞かれます。共通の話題がないとか、子どもが何を考えているのか分からないという声も聞かれます。
私は、子どもの考えていることを知り、共通の話題にする大切さを認める一方で、子どもが話している時の情緒や話をもっと続けたくなる雰囲気をつくる大切さも強調したいと考えています。
赤ちゃんは、しっかりとした思考と言葉で話すようになる前から、明確な言葉にはならない言葉を発して「話をする」ことの楽しさを身につけていきます。
「アーゴー、ウングウング」、「バブバブ、ワウワウ、アーウ」。
これを喃語と言います。私の記憶では、我が子がこのようなお話しをし始めたのは、お座りができるようになった頃だったでしょうか。喃語は赤ちゃんからお話です。喃語は、言っている意味内容が大切なのではなく、赤ちゃんが周りの人に自分の存在を訴え、受け容れてもらえるように精一杯の自己表現して、大切な人とコミュニケーションをしようとすることそのものに大切な意味があるように思えます。
そのような場で、お母さんはどう応対したらよいのでしょう。赤ちゃんの話の中味には意味がないからといって無視すべきではありません。先ほども申し上げたように赤ちゃんはお母さんをはじめ周りの人に自分の存在そのものを認めてもらおうとしています。お母さんの方からも、「あなたの存在を認めていますよ」ということを伝えてあげましょう。
赤ちゃんの喃語に応じて、優しい顔で、穏やかな落ち着いた声で、「そう、そうなの」、「お話上手ですねぇ」、「お母さんはあなたのお話聞くと楽しいですよ」などと、赤ちゃんと視線を合わせて言葉を掛けてあげましょう。
赤ちゃんは自分の表現をお母さんに認められて、自分の存在に自信と勇気を持つことでしょう。お母さんが喃語に応じるとき、赤ちゃんは、大人の言葉で言えば「自分が自分でいて良いんだ」「自分が表現することを受け止めてくれる人がいてくれる」という経験を重ねることになります。赤ちゃんへのこのような対応は、赤ちゃんの「自己肯定感」の獲得につながります。
大人でもそうです。自分が一個の存在として認められていることを実感できるとき、人は自分で育とうとする力を伸ばしていくことが出来るのです。まして未だ小さく未成熟な赤ちゃんであれば、しっかりと受け止めてもらえれば、それだけ自分を大切にしてのびのび育つ基盤が出来るのです。この時期には話の内容より、自分が表現することがお母さんに受け入れられ、自分の存在に確かな手応えを感じられることが大切です。
まだまだ具体的なものの名前など発音できない時期でも、人間は一個の人格として認められることによって、情緒の安定した発育が促されることを心に留めておきたいと思います。
posted by 聖ルカ住人 at 05:50|
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