2022年12月28日

高い高ーい、アンヨアンヨ

  小さな子どもたちが、自分の体で沢山の経験を積み重ねていくことはとても大切なことです。近年、子どもも大人もテレビの画面などを通して遊ぶことが増えて、実際に自分の体を動かしてその感覚と共に達成感を味わうことが少なくなってしまったように思います。

 つい最近、ある幼稚園の先生からこんな話をお聞きしました。

 入園したばかりの4歳児が、スタスタと滑り台の階段を上っていきました。次の瞬間、先生は心臓が止まるかと思うほどビックリしたのです。滑り台の天板まで上ったその子は立ったまままるで空中を歩くかのように次の一歩を踏み出したのです。宙を泳いだその子は、滑り台の斜めの滑り板(お尻をつけて滑り降りてくる部分)にひっくり返って下まで滑ってきました。幸い滑り板が受け止めてくれたから良いものの、もし少しでも体が外に傾いていたらと思うと今でもゾッとします、とその先生は言っておられました。

 生育を調べてみると、その子の遊びはテレビ、ビデオ、テレビゲームが圧倒的に多いとのこと。実際の滑り台に上った時も、あたかもテレビゲームの中のキャラクターが空中に歩き出していくかのようで、実際の滑り台がどのようなものなのか身をもって経験したことがなかったかのようだったということです。

 この一件の原因を画面での遊びに結びつけてしまうのはあまりに短絡的かもしれませんが、少なくともこうした切り口から考えてみることは必要なことであり大切なことなのではないでしょうか。

 振り返ってみると、最近の乳幼児は本当に体を十分に動かしたり触れ合ったりする機会が減っているようです。親が両手で子どもの脇の下あたりをもって「たかいたかーい」と高く抱き上げてみたり、子どもを同じ方向を向かせて自分の足の甲の上に立たせて「いちに、いちに、アンヨ、アンヨ」と歩いてみたり、仰向けに寝た父親の膝の上や足の裏に子どもを腹這いにさせて「ヒコーキ、ブーン」をしたり、おんぶ、肩車、ぐるぐる回し等々、子どもは本来スキンシップをとる単純な遊びが大好きなのです。それは子どもが何よりも親との触れ合いの中で自分を感じることが出来るからです。そして自分の体と感覚を実感するからで、それは子どもが自分自身を獲得していく大切な作業でもあるのです。

 私も昔我が子と「ヒコーキブーン」をやっていて上からよだれを投下されたことも幾度もあります。また「もっと高く」というので、私の両手で子どもを高く掲げたら、その手が滑って子どもをわきに落としそうになったこともあります。

 大事な子どもさんに怪我を負わせることなど無いように気を付けてください。でもこうした遊びは、親子のスキンシップを図る上でもとても楽しい者です。そのような遊びを沢山経験したこは、きっと身体バランスのよい子になりますよ。

posted by 聖ルカ住人 at 16:06| Comment(0) | 子育て応援 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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