2023年10月13日

たくさん体を動かそう (愛恩便り2015年9月)

たくさん体を動かそう

聖なる者たちの受け継ぐものがどれほど豊かな栄光に輝いているか悟らせてくださるように。 ( エフェソの信徒への手紙 第1章18節 )   


 3年ほど前、文部科学省は「幼児期運動指針」を通知しました。

 それによると、現代の社会は、生活全体が便利になって体を動かす機会が少なくなり、子どもが身体を動かすことを軽視し、その結果、子どもの体力低下につながっている、と言います。このような幼少期の現状は、その後の児童期、青年期に運動やスポーツに親しむ力や意欲を減退させています。それだけではなく、運動不足は、本来なら幼少期に遊びをとおして培われる対人関係を築く力も育たないことなどの問題も引き起こす可能性があります。このように、現代社会の運動不足は子どもの体だけではなく心の発達にも重大な影響を及ぼすことになりかねないと、「幼児期運動指針」は子どもの将来を案じています。

 子どもが十分に体を動かして遊ぶことは、心肺機能や骨の形成にも大切なことであり、たとえば転んだときにも大怪我にならない耐性のある筋力や身のこなしを体得すること、普段から良い姿勢を保つことなど、健康の基盤づくりのためにも大切なことです。更には、子どもたちが鉄棒や縄跳びなどで「できた!」という体験をし、課題に向かう意欲や忍耐の態度を育てるためにも、体を動かして遊ぶことが必要です。

 体を動かして遊ぶことは、個人の身体・精神的な成長を促すことは言うまでもありませんが、「集団経験」ということでも大切な働きをしています。子どもは、その遊びをとおして、他の子どもたちとコミュニケーションを図り、自分を主張したり相手を理解したりすることや、チームで一つになって協力したり他者のために貢献したりすることも学んでいくのです。

 幼児期に体を動かして遊ぶことは、やがて学童期にはいると、ルールのある運動、スポーツに向かうことになります。運動は、素早い方向転換や身のこなし、状況判断、予測や協調など、脳の多くの領域を使用して刺激しながら、調和のとれた運動制御機能や判断力、知的能力を発達させる働きをします。

 幼い頃から特定の種目だけの運動訓練をした子どもと、特定の種目に限らず屋外でたくさん遊んだ子どもの運動能力の伸び方を追跡調査したところ、小学校高学年になる頃から両者の運動技術の差はなくなり、その後はかえって屋外でたくさん遊んだ子どもの方が運動能力全般で力を伸ばしているという結果が出ているそうです。

 また、本題からはそれますが、子どもが早期に文字学習を行なっても、小学校一年生の終わり頃には、早期文字学習を行なわなかった子どもとの間にその学力差はなくなり、小学校3年生になる頃には、早期の文字学習を行なわなかった子どもの方が、読解力、作文表現力などの点でかえって好結果を収めるようになるという研究結果も報告されています。幼少期には、子どもは、たくさん体を動かして遊び、そこで他者と言葉を交わし合い、心を豊かに通わせ合うことが、身体、精神、知的発育のための基盤づくりになる、と言えるでしょう。たくさん体を動かしましょう。

 ちなみに、文部科学省は「幼児は様々な遊びを中心に、毎日、合計60分以上、楽しく体を動かすことが大切です。」と言っています。

わたしたち大人が安全を確保し、温かな眼差しをおくり、そこで子どもたちがのびのびとたくさん体を動かして遊びこむ日々の積み重ねが、子どもの心身を健やかに育てる基本なのです。子どもたちの様々なまだ目には見えない可能性を開いていくためにも、子どもたちがたくさん体を動かして色々な事に挑戦して遊ぶ機会を持てるよう心掛けたいと思います。体を使ってたくさん遊ぶことは、子どもたちの心身が成長するための糧であると共に、経験の幅を拡げながら他者と共に生きていく上で必要不可欠のことなのです。

 (文部科学省の「幼児期運動指針」より多くの部分を引用しました。)


posted by 聖ルカ住人 at 09:20| Comment(0) | 幼稚園だより | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする